2010年(平成22年)3月期の業績について
(2010年5月13日開示 決算短信より)
医当社の参画する医薬品業界は、海外製薬企業の国内市場への参入、国内製薬企業の海外バイオ企業との業務提携や企業買収の増加、また大手製薬企業の後発医薬品市場への本格参入など、大きな変革期に突入しております。
製品販売にかかる安定的な収益基盤を持たず、しかしながら積極的な先行投資を要するバイオベンチャーにとっては、各社ブロックバスター医薬品の特許が相次いで期限切れを迎える2010年問題をチャンスと捉え、次の新薬を模索する製薬企業との提携契約によって収益へと繋げたいところですが、金融市場の悪化により資金調達は未だ難しい状況であり、当面の研究開発投資を抑制せざるを得ない厳しい状況にあります。
このような環境の中で、当社グループにおいては製薬企業との提携が収益へと結実しつつあります。ノバルティスにライセンスアウトしたNVA237は第III相臨床試験が開始され、当社はマイルストン収入を受領しました。また、SOH-075においてはあすか製薬との販売提携契約を締結し、契約に基づき一時金及び製造販売承認申請に伴うマイルストンを受領しました。
研究開発活動については、経営資源を有効活用するため、前連結会計年度において開発品の厳格な選別を行いました。そして当連結会計年度においてはNVA237(適応:慢性閉塞性肺疾患)、QVA149(適応:慢性閉塞性肺疾患)、 SOH-075(適応:緊急避妊)、SD118(適応:神経障害性疼痛)について開発進捗を図りました。
当連結会計年度おける主要開発品の進捗は以下のとおりです。
NVA237(適応:慢性閉塞性肺疾患)
- 開発段階:第III相臨床試験中 (平成22年3月31日現在)
- NVA237(臭化グリコピロニウム、1日1回吸入の長時間作用型ムスカリン拮抗薬(LAMA))は平成17年4月にノバルティス社(本社スイス)に全世界の独占的開発・販売権を導出した開発品(単剤)であり、導出以降はノバルティス社によってCOPD(Chronic Obstructive Pulmonary Disease:慢性閉塞性肺疾患)を適応として開発が進められています。慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、タバコなどの有害な空気の刺激により気道(気管支)や肺(肺胞)に慢性炎症を生じ、その結果、気流が制限されたり酸素が交換できずに呼吸が困難になる病気です。WHOの統計では全世界の患者数は2億1千万人と報告され ており、今後本疾患による死亡者数は急増すると予測されています。平成20年10月に本剤の第II相臨床試験追加試験が完了し、その有用性が確認されました。中等~重等症のCOPD患者を対象とした当該試験で、NVA237は試験期間中24時間に亘る持続的な気管支拡張作用が示されました。また、同種同効薬であるチオトロピウム(すでに上市されているCOPD治療薬スピリーバの有効成分。2008年度売上27.7億ドル)と同様の有効性と持続的な気管支拡張作用を示すとともに、チオトロピウムに比べNVA237の優れた即効性が示唆されました。更に、28日間投与試験では安全性と忍容性が確認され、ノバルティス社により平成21年6月に第III相臨床試験が開始されました。当社はノバルティス社より約7億円のマイルストンを受領いたしました。

QVA149(適応:慢性閉塞性肺疾患)
- 開発段階:第III相臨床試験準備中 (平成22年3月31日現在)
- QVA149は、当社導出品NVA237とノバルティス社が独自で開発を行っている慢性閉塞性肺疾患の開発品QAB149(インダカテロール、長時間作用型β2刺激薬。欧州においては承認取得、市販されており、米国では承認申請中)と、NVA237との配合剤です。作用機序の異なる2つの有効成分を同時投与することにより、既存薬に比べてより高い治療効果を得られると期待されています。平成21年9月に本剤の第II相臨床試験結果が発表され、中等~重等症のCOPD患者において期待通りの優れた有効性および安全性が確認されました。現在、合剤として第III相臨床試験の準備が行われておりま
す。(平成22年5月、当社はQVA149の第III相臨床試験の開始を発表いたしました。)
なお、上記NVA237、QVA149につきましては、当社グループには開発費用負担は生じません。 
SOH-075(適応:緊急避妊)
- 開発段階:承認申請中(平成22年3月31日現在)
- SOH-075は緊急避妊を目的として海外で開発された黄体ホルモン系避妊薬で、既に世界約60ケ国で承認されている開発品です。当社は日本市場向けに開発を進めており、平成20年7月に第III相臨床試験を完了いたしました。当該試験では、緊急避妊を必要とする女性を対象として、性交後72時間以内に本剤1.5mgを1回投与し、安全性、妊娠の有無などを評価しました。安全性については、重篤な有害事象の発現はなく、ほぼ全てが軽微な事象でした。妊娠の有無については、評価対象63例中62例の避妊を確認し、既に行われている海外での試験と同様の結果でした。これを受け平成21年9月、厚生労働省に製造販売承認申請を行いました。また平成21年11月には、上市後の販売チャネル構築のため、あすか製薬株式会社と本開発品の国内販売権導出契約を締結し、契約一時金及び製造販売承認申請にかかるマイルストンを受領いたしました。

SD 118(適応:神経障害性疼痛)
- 第II相臨床試験準備中 (平成22年3月31日現在)
- SD 118は、当社独自の研究開発手法であるドラッグ・リプロファイリング・プラットフォーム(DRP)により創出した開発品です。日本国内において、他の適応症で開発されていた薬剤に対し再評価を実施、各種疼痛動物モデルでの実験結果から、新たに神経障害性疼痛治療のための経口剤としての可能性を見出したものです。神経障害性(神経因性)疼痛とは、神経系への感染、圧迫、外傷、腫瘍などによる神経系の一時的傷害あるいは機能異常を原因とする、長時間持続する難治性の疼痛です。既に第I相臨床試験を終了し、単回経口投与、反復経口投与試験において安全性及び忍容性を確認しております。平成18年6月に締結した提携契約に基づき、当社グループとNeuroDiscovery Ltd(オーストラリア)及び同社子会社であるNeuroSolutions Ltdと共同で開発を進めておりましたが、今後の開発のより円滑な進捗を図るため、全権利を当社グループに譲渡する契約を締結しました。この譲渡契約により当社グループは、日本及びアジアでの一部を除く全世界の開発、商業化の全ての権利を保有することとなります。また特許の存続期間満了までの当開発品の商業化に伴い、NeuroDiscovery Ltdに対価を支払うこととなります。現在は手持ち資金を使わない、リスクを抑えた形で次相開発段階を進めるため、プロジェクトファイナンス等を検討しております。

以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高919百万円(前年同期比501.4%増)、営業損失1,854百万円(前年同期営業損失3,667百万円)、経常損失1,781百万円(前年同期経常損失4,165百万円)、当期純損失は1,769百万円(前年同期当期純損失3,938百万円)となりました。尚、販売費及び一般管理費のうち、1,588百万円はのれん償却額であります。

























